吉本隆明

3日・4日と子供たちはそれぞれの職場に戻って行き、きょうは母を見舞ったが、早7日だ。

ETVで、昨年夏に行われた吉本隆明の講演をみた。
暮れの加藤周一に続いて、陶酔したような話しぶりに気迫を感じた。
内容を十分理解したわけではないが、印象的なことをいくつか書く。

彼によると、言語には自己表出(沈黙)と指示表出(表現)という二つの側面があるという。
そして、言語の根幹になるのは沈黙のほうであり、枝葉がコミュニケーションとしての言語(表現)である。
芸術の価値は沈黙に近いひとりごとで、桑原武夫の第二芸術論に反論した小林秀雄は正しい。(日本には極力短く表出する伝統がある。)
マルクスから、あらゆることを根源的なところまで遡り考えることを学んだが、文学や芸術に関して、直せば直すほどよくなるという労働価値説は成り立たない。
自己表出と自己表出の出会いは偶然であり、社会の発展と芸術は無関係である。
役に立たないことが、芸術の本質なのだから。

間違った解釈があるかも知れないが、おおよそこのような内容だった。