『世界一周恐怖航海記』 車谷長吉著 文芸春秋2006.7.30第一刷

★ 2005.12.26~2006.3.30 第52回ピースボートに乗船した詳細な記録だ。
起床時刻や三度の食事内容から、旅の内容、車谷の来歴も書かれてある。
 
イメージ 1 ○ p153・・・言葉を一つ記憶するたびに、内省的になってきた。
言葉を覚えることは辛いことである。
世の「俗物」とは内省しない人である。
漱石全集を全部読んでから、私は内省的になってきた。
 
○ p176・・・作家になるためには、一年に一人の作家の全集を全部読む必要がある。
それを三十年くらいくり返す。
また自分が気に入った作家の作品一篇を五十回くらい声に出して読み、耳から聞いて全部記憶してしまうこと。
私の場合は森鴎外の『阿部一族』をそうした。
 
車谷は苦労人だ。
48歳で結婚してから、妻との約束である東京に家を買い、世界一周旅行を果たした。
赤目四十八瀧心中未遂』で世に出るが、強迫神経症の病も得る。
 
 
私も日本縦断の歩き旅を終えれば、八十八か所巡礼とピースボート乗船は実現したいと思っているのだが。