In Tokyo

★ 初日はシアター・イメージフォーラムで『収容病棟』をみた。
前後編で5時間近くあった。
雲南の精神病院のドキュメンタリー作品で、「尊厳」のかけらもない患者たちの日常は息苦しくなるほどだ。
ベッドの下に置かれた洗面器に用を足し、通路で済ませるものもいる。
伝染病が発生しないのが不思議だ。
真冬でも通路の水場で水を被り、体を洗うものもいる。
薬の服用が厳しく監視され、飲んだかどうか点検される。
家族の面会の様子を見ていると、患者たちは家族によって入所させられ、帰宅することを強く望んでいるが、家族に拒否される。
面会にきた妻が入所している夫が嫌がっているのに、無理やりスマホで音楽を聞かせる。
夫はますます情緒不安定になり、イライラしている。
非常に貧しい生活だが、スマホを持ち音楽を楽しむ。
このギャップをどう理解すればいいのだろう。
 
★ 翌日はまず、管野須賀子の墓がある正春寺へ。
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寺の裏手の銀杏木近くにある自然石がそれで、――くろかねの窓にさしいる日の影の移るを守りけふも暮しぬ  幽月女史獄中作―― と刻まれているが彫が浅く読みづらくなっている。
裏には――革命の先駆者管野スガここにねむる 1971年7月11日 大逆事件の真実を明らかにする会これを建てる―― とある。
彼女が処刑されたのは1911年1月25日だから、60年余り経っての建立になる。
 
その後近くの文化学園服飾博物館で開かれていた「世界のビーズ展」を見た後、オーチャードホールへ移動し「アイリッシュダンス」を観賞。
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公演後のオーチャードホール入り口。 結構年配者が多かったようす。
 
松濤美術館で「藤井達吉の全貌」に立ち寄る。
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私にも作れたり、描けたりできそうと錯覚させられるところがいい。
生活用具としての工芸品に興味がある。
 
★ 三日目は新宿のホテルから大逆事件の処刑場だった市ヶ谷刑場跡に歩いて行った。
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この刑死者慰霊塔は1964年7月15日に日本弁護士連合会によって建てられている。
世の中は東京オリンピック開催直前で浮かれていた頃だ。
 
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これが市ヶ谷刑場のあった富久町児童遊園全景で、左手の掲示板後ろにあるのが慰霊塔だ。
ここにも大きな銀杏木があり、前日の管野須賀子の墓と同様だ。
奥を歩いているのが私で、このとき同行した娘が撮ってくれた一枚。
公園の北側に都道302号線が走っており、そちら側の入り口に道路工事の用地買収を知らせる看板があり、慰霊塔が移動するのではと心配している。
 
このあとは他に用事のある娘と別れ、またてくてくと歩いて西早稲田の「女たちの戦争と平和資料館」へ。 従軍慰安婦関連の資料はもっとも揃っているミュージアムだろう。
 
★ 最終日は、文京シビックホールで開かれた石牟礼道子全集完成を記念する映画「花の億土へ」とシンポジウムに出かけた。
 
盛りたくさんだったので、帰宅後はつかれ気味だ。