ソクーロフ20世紀3部作&トプカプ宮殿展

今月初め表題の映画を6時間続けて観た。

まず居眠りが多く、感想を述べるには気が引ける。
ソクーロフ監督は私と同世代、とても寒そうなイルクーツク生まれ。

それにしても、ヒトラーレーニンヒロヒトの三人を描こうとしてそれをなしえた気力に乾杯。
ヒトラーエヴァに、ヒロヒトが皇后に子供のように甘えたり、レーニン認知症の症状を表したりする極めて人間的な面を描くことにより、監督が表現したかったのは何か?

20世紀最大の権力者たちの特異性でなく、人間としての普遍性を描くことにより、伝えたかったのは何か?

画面が印象派の絵のようにボヤけていて、それがイルクーツク生まれの監督の感性を思わせるものの、きっと眠くなる要因でもあった。

もっとも異様さを感じたのは「モレク神」、ゲッベルスエヴァの振る舞いに気味悪く危険なものを感じた。
レーニンは50代前半で亡くなったのに、こんなに呆けていたのか?介護をする妻や妹は全くの庶民風。
「太陽」は1本目だったので、最も眠らずに観たが、日本人の監督で描けない現実を深く憂う。

ロシアはポリトコフスカヤさんの暗殺やリトビネンコ氏の毒殺などで、しばらくとても暗いイメージがある。
ソクーロフ監督の今後の仕事に注目したい。

トプカプ宮殿の至宝展は最終日に行った。
出品作品リストによると136点だが、特に印象に残ったのは、出産用椅子と金のゆりかごだ。
全般に非常に細密で豪華絢爛。
しかし宝石をちりばめたカップやスプーンなど、とても実用的とは思われない。
わたしはやはり柳宗悦の民芸品などに美しさを感じる。

ダイヤモンドやエメラルドがちりばめられたゆりかごで眠る赤ん坊は、どんな大人になるのだろう?
一月70万円の小遣いを与えられていた(真偽は定かでない)某女優の息子が、麻薬所持で逮捕された。
今回が初めてではない。
普通でない境遇に生まれても、普通を知ることは大切だ。