Ladybug

★ 昼ご飯の準備をしようと畑にワケギとマンバを取りに行ったら、数匹のテントウ虫がいた。
とても久しぶりに見たように感じた。
 
てんとう虫をみると反射的に思い浮かぶのが、手塚の「火の鳥鳳凰編-」。
我王は他人にそそのかされて、妻のハヤメを殺害する。
ハヤメは、昔我王に命を救われたテントウ虫で、人間に姿を変え、我王の下で恩返しをする。
ハヤメの亡骸が消えた後の小さなテントウ虫を見て、我王は全てを理解し、苦悩を背負う。
 
シェークスピアの「マクベス」と日本民話「鶴の恩返し」を合わせたような内容だが、テーマは『そそのかし』のほうに重点が置かれているように思う。
 
他方、ワケギ和えを作ると必ず思い出すのは、住井すゑの「橋のない川」。
誠太郎だったか孝二だったか、米問屋の奉公から久しぶりに帰った我が家で、祖母が作ってくれたワケギ和えを食べた時のシーンがみずみずしく描かれていた。
橋のない川」は6巻で完結していたが、1989の昭和天皇の死をめぐる世の中のありようをみて、住井は7巻目の執筆を決意した。
90歳で7巻目を完成させ、8巻目の構想を準備しながら亡くなった。
 
★ 日経本日付文化欄に載った清水徹氏の文章が心に残った。
足腰の弱った老人の日常が気負いなくユーモラスにつづられている。
わたしも80歳まで生きたら、このような文章が書きたい。