「女の一生 二部・サチ子の場合」遠藤周作著 朝日新聞社

★ アウシュビッツの日本人ガイド中谷剛さんに紹介された本だ。
 
昭和56年7月3日より57年2月7日まで、朝日新聞に連載されたもので、私が読んだのは昭和57年3月30日第一刷発行のもの。
 
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 県立図書館から借りたが、30年近く前のものなので相当傷んでいる。
1930年4月、長崎に布教に訪れたコルベ神父とクリスチャン一家の幼子サチ子との出会いから物語は始まる。
サチ子を中心に、年齢の近いアメリカ人の遊び友達や、ミサで顔見知りになる友人たちとの交流が、特高警察や2・26事件の時代背景と共に描かれる。
ある日コルベ神父は母国ポーランドに帰国することになる。
前後して仲良しだったアメリカ人一家も母国に帰っていく。
幼友達のサチ子と修平の恋の芽生え。
収容所のコルベ神父とサチ子・修平のようすがチャプター毎に交互に描かれる。
そして、コルベ神父の死と特攻に志願した修平の死。
8月9日の原爆投下を経験したサチ子と昭和50年代を暮らす彼女の描写で物語は終わる。
 
400ページの単行本だが、二日で読み切った。
それほど一気に読ませる内容だった。
いい本を紹介してもらった。
 
1980年代の10年間は、社会の出来事の記憶が私にはほとんどない。
共稼ぎと、子育てで、新聞も読まずTVを見ることもなく、まさに生活に追われていた。
この新聞小説の連載も知る由もない。