『黄沙の楽土』-石原莞爾と日本人が見た夢- 佐高信著
著者は否定派だ。--以下 ◎は引用--
◎ 穂積五一の名は多くの人には知られていない。
もちろん、石原ほどに崇める人はいない。
しかし穂積こそが、石原にとってかわって顕彰されるべきではないのか。
アジアの人から見れば、石原は憎悪の対象である。
人気があるのは、その事績を丹念に検証したことのない日本人たちの間でにすぎない。
石原を推し、穂積を無視することが、どれだけアジアの人々を「日本人から離れ」させているか。(p254)
◎ 石原の東亜連盟思想にユダヤ人を入れる余地はなかった。
あくまで「東亜」に限る「五族協和」で、「六族協和」に発展させる気はなかったのである。 (p270)
◎ 賢しげに国際政治の力学とやらを持ち出して米軍基地の撤去は非現実的と主張する「達識名望ある日本人」もいるが、フィリピンはアジア最大といわれた駐留米軍のクラーク空軍基地とスービック海軍基地を閉鎖した。
そのフィリピン大学教授のマリーン・マガローナは、被爆国の日本がアメリカの核抑止力を肯定するガイドラインをそのまま受け入れようとしているのは信じられないと批判し、国際社会に誓った平和憲法を踏みにじる約束違反と慨嘆している。
(p240)