⑧「おじいちゃんの里帰り」

★ いよいよ最後の作品はがらりと毛色が異なり、コメディタッチのヒューマンドラマで、とても面白かった。

1973年生まれのトルコ系ドイツ人2世ヤセミン・サムデレリ監督の作品。

第二次大戦後西ドイツは深刻な労働力不足に悩まされ、海外からガストアルバイターと呼ばれる外国人労働者が多く流入した。
2015年の時点で、5人に1人がドイツ以外の国にルーツを持つ割合だ。

1964年フセインという男が妻と3人の子どもをトルコに残し、単身ドイツにガストアルバイターとしてやってくる。
それから45年間の家族物語がフセインの娘の子、22歳のチャナン(フセインにとっては孫娘)によって語られる。
フセイン夫妻の4人目の末っ子でドイツで生まれた三男とドイツ人妻との間に生まれた6歳のチェンクという少年がいる。チェンクは学校でのサッカーで、トルコ側にもドイツ側にも入れてもらえず、自分はどちらかと悩む。それを知ったチャナンがチェンクに家族の歴史を物語るという設定になっている。
ある日、フセインは家族そろっての食事中トルコに家を買ったので皆でトルコに行こうと言う。
フセインの運転で家族9人はワゴンに乗り、3000kmの里帰りに出かける。

家族はそれぞれに悩みを抱えており、長男は離婚寸前、孫娘のチャナンはイギリス人のボーイフレンドと避妊に失敗し妊娠しているが、誰にも打ち明けられないでいる。
旅の途中でフセインはチャナンの秘密を見抜く。
それを知ったフセインの妻は「まあ、私のときと同じ!」ともらす。
フセインの妻は村長の娘だったがフセインに見初められたとき、すでに妊娠していた。
フセインはそれを承知で求婚したのだ。

映画は1960年代と現代がチャナンの話と共に交互に現れる。
故郷への帰還を果たしたフセインは運転席で眠るように亡くなる。
失業中だった次男マホメドは自分はアナトリアに残ると決めた。

ドイツの戦後、移民3世の現状、一筋縄でいかない移民史がやわらかい映像で楽しく描かれていた。


★ さてこの日の昼食は前日のラーメンの反省から、汐留シティセンターへ行った。
BF1に「築地食堂源ちゃん」というチェーン店があり、この店は昨年秋に新宿御苑で初めて入り、手ごろな値段と美味しさが気に入り、2夜連続利用した。
なのでここで海鮮丼をたらふく食べた。

夕食はまた銀座コリドー街の「近畿大学水産研究所」で、私は日本酒五十五万石を、娘は紀勢鶴純米で、真鯛の香味揚げや海鮮巻き寿司など美味しくいただいた。
この店の接客係はいかにも学生のアルバイト風なのだが、近畿大学とは関係なくいろんな大学生が働いている由。

前日よりは1時間ほど早く、9時過ぎにはホテルに戻ることができた。