姜尚中講演会
⭐ 一昨日の20日、高松•大野で開かれた姜尚中講演会に出かけた。
走り書きしたメモと感想を交えながら書きたい。
姜は中学2年の時家出し、友人ら3人と東京で1ヶ月を過ごした。(新聞配達などで食いつないだという)
今の学生は奨学金の返済で、卒業と同時に200~300万円の借金を抱えている。
ハーバード大でも年間授業料は800万~1000万円で、多くの学生は借金を抱える。
貧しい子供が一番欲しいのは靴で、一番多い病気は虫歯と肥満、自販機の後ろで暖をとる状況がある。
姜は近年長崎の軍艦島をはじめ1年余り全国を見て回った。
三井・三池も囚人労働から始まった。
廃坑になった後坑夫の一部はドイツまで行った者もいる。
ここですぐに上野英信著「眉屋私記」を思い出した。
眉屋というのは1840頃沖縄に住んでいた山入端(やまのは)家の屋号だ。
その眉屋4代目山入端萬栄(1888生まれ)が1907年キューバに移住する。
その萬栄を中心とした一族の歴史ルポルタージュがこの本の内容だ。
とあった。
明治を調べ始めると、このような移民史に必ずぶつかる。
姜は熊本なので水俣の話も出たが、癩患者の話もあった。
幼い頃、癩患者を見ると逃げていた。母親は自分のように差別しなかった。
なぜ自分と母の反応は異なるのか?
それは自分が学校に行ったからではないか?
学校に行ったがために自分は偏見を持ち、無学な母は偏見を持たなかった。
偏見から派生して、相模原事件にも触れ、普通の生活ができない状態を「心が荒(すさ)ぶ」と表現した。
東北大に漱石の出納帳があるそうだ。
人が信じられないから最後は金(かね)となる。
漱石の夫婦仲は良くなかったが、7人の子を持ち、現在の金で2千数百万円を残した。
カネをめぐる業のようなものが世界を動かしている。
姜がICU時代の教え子と会った。
ゴールドマン・サックスに勤める45歳の彼に収入はいくらか聞いた。
3本指を立てたので、3千万と思ったら3億だった。
1/1000秒単位で動いている世界で働いている人だ。
姜は「悪」とは絶対的不足と絶対的過剰の状態をいい、そうではないところに心の平安があると締めくくった。
青色の部分は私が付け加えた部分。
私の好きな漱石の句。
・菫ほどな小さき人に生まれたし
・叩かれて昼の蚊を吐く木魚哉