新版 家族喰い 小野一光著 文春文庫 2017年8月刊

⭐ 元版は2013年8月太田出版から単行本が出ている。
2012年12月、兵庫県警留置場で自殺した角田美代子を主犯とする尼崎連続変死事件を取材したノンフィクションだ。

全くどうでもいいことなのだが、著者の画像を見て、性被害を訴えている詩織さんの加害者とされる元TBS記者山口敬之(この人物は安倍晋三の提灯持ちと言われており、そのために裏から手が回り不起訴になったとされる)と容姿が似ており、小野氏は嫌だろうが両氏ともに1966年生まれなので、この年代の男はこういう外形を好む傾向にあるのかと勝手に思った。

ギャンブル・麻薬・売春・暴力団などの闇世界は表の世界と常に隣り合っており、気を緩めるとたやすく取り込まれる危険に満ちた日常を私たちは生きている。
家族同士がリンチの末に殺人を犯す場面は、連合赤軍を思い出さずにはいられない。

本文から数ヶ所引用する。
・美代子の存在によって、社会の、個人の、その中に潜む悪の部分があぶり出され、被害者にまとめて降りかかってくるのだ。
・自分よりも強い者には徹底的に弱く、弱い者には徹底的に強い。それが美代子だった。
・自分が勝てると見た相手に対しては、決して歯向かうことのないよう、絶対的な恐怖を与えて支配した。弱い者を恐怖で支配するには生贄が必要であり、忠誠を確認する手段として用いたのが、タブーである"家族殺し"の強要だった。

罵倒する場面では豊田真由子議員を思い出した。

この事件の死者・行方不明者は11人にのぼる。


⭐ 新聞の下段の雑誌宣伝に「WiLL」「Hanada」などが目を引き、常連寄稿者に櫻井よしこ百田尚樹などが名を連ねる。
安倍晋三日本会議が目指す日本は、松岡洋右の言動とダブって見えて仕方ない。
政治に絶望し、棄権したり白票を投ずることは安倍政権に有利に働く。故にちょっとでもマシな人を選ぶ以外にないのだろうが、はて困ったものだ。