「知性は死なない」輿那覇潤著 文藝春秋
※ 自分の身の回りも含め、精神を病む人は多い。
その状況を少しでも探りたくて、本書を求めた。
内容は6章からなり、1章…私が病気になるまで 2章…「うつ」に関する10の誤解 3章…躁うつ病とはどんな病気か 4章…反知性主義とのつきあいかた 5章…知性が崩れゆく世界で 6章…病気から見つけた生きかた となっている。
彼は2014年勤務していた大学で、普段は「天皇制批判」を公言していた同僚たちが突如「研究者・皇太子徳仁親王による学術講演」を、次年度に行う目玉企画として推し進めだす(結果的には実現せず)という状況を経験する。
この時点で、すでに大学に価値を見出せなくなっていたと…。この年8月に急激なうつ転を体験。
本書の第2章は http://bunshun.jp/articles/-/6930 に詳しい。
2015年3月短期の検査入院の結果、即治療入院となる。
2017年大学を退職。
内容は平成の30年間の総括が試みられ、例えば1991年8月27日に電通の24歳男性が自殺した事件、
指摘されて、ああそうだったかと気づく。
私は20年ほど前、阿部謹也の「日本社会で生きるということ」を読んで以来、彼に私淑している。
いずれもモヤっとした引き金らしき原因はあるが、それが重篤な精神の病につながっていくことを止めるすべはないのか?
精神の病と平成を振り返って見たい人にはお勧めの本だ。