1961米映画「噂の二人」&山本美香著「ぼくの村は戦場だった。」

まず映画の方だが、原題は「The Children's Hour.」
面白い小説を読んだ後のような味わいがあった。

あらすじは、十代の頃からの親友同士の女性二人が、寄宿学校を営んでいる。その学校にどうしようもないほど悪知恵の働く少女がいるが、地域の名士である祖母がいる。
その少女によって、二人は同性愛者のうわさをたてられ、世間から抹殺される。二人のうちの一人は婚約者と別れ、他方は自死する。

監督はウィリアム・ワイラーで、ベンハーの2年後くらいにこの作品を制作している。

脇役として、性悪少女に脅迫される同じ寄宿学校にいる少女と、自死する女性のおばがいる。
結果として、この少女のウソの証言とおばが証言を拒否したことで、二人は訴訟に敗れ噂が公認されることになる。つまり、これらの脇役は小市民の代表である。直接、悪に加担していなくても、間接的に悪を行使している。
私たちのまわりにも、本人は清く正しく生きているつもりでも、こういう間接的な悪の行使がある。これは、直接的な悪の行使よりも始末が悪いことがある。

つぎに、本のほうについて。
著者は1967生まれのフリージャーナリスト。
イラク戦争の時、ジャパンプレス代表の佐藤和孝氏と現場から報道していたのをTVでみたことがある。
アフガニスタンウガンダチェチェンコソボイラクの5つの紛争地域の状況が書かれている。
ニュースはTVだけみていたのではわからないことが多い。