佐野洋子著「シズコさん」

最近もっともしみじみした気持で読み終えた一冊だ。

ずっと確執のあった母親を見送った後、そこに至る心情を綴っている。

☆しみじみ私は母を捨てたと思った。
☆父さんは一度も浮気をしなかった。当り前だとおもっていたが、稀有なことだと後で知った。
☆私は母を母としてではなく、人として嫌だった。
☆母は誰にもごめんなさいとありがとうを云わないひとだった。
☆嫌われて長生きしたくはないけれども、かわいがられて死ぬよりはまし。
☆私は母さんが母さんじゃない人になっちゃって初めて二人で優しい会話が出来るようになった。
☆母は熱心で、真面目な勉強をする人だったのだ。破れから生れる美しさに無関心な人だったのだろう。

などの箇所にずしんと感じながら読んだ。
そう遠くない日にわたしも母を見送るだろう。

佐野洋子という人は何と正直な人であるのかと思う。