帰(喜)来山へ

10ケ月ぶりに東かがわ市にある帰来山へ登った。
登山口近くの人工芝スキー場には、保育園の園外保育か小さな子どもたちが訪れていた。

10か月の間に誰かが登っているのはわかった。
以前なかったビニールテープがあったし、枝が切られた跡もあった。
ところどころシダが丈高く覆っていて、両足で外側に踏みつけながら踏みわけ道を拡げる。
いつもサルトリイバラが繁茂している。
ズボンに引っ掛かり、脚が進めなくなったら、大概サルトリイバラが邪魔している。
駐車してから山頂までちょうど1時間かかった。

風があるし、じっとしていると寒いが、小豆島や淡路島(たぶん)もよくみえる。
頂上近くにりんどうが咲いていた。
数本持ち帰りたかったが、帰りにスーパーや母のいる施設にも立ち寄るので、枯らしてはいけないと思い、諦めた。


登山やウォーキングをしていると、ときどき捨てられた犬や猫に出会う。
こういうとき私は、付いてこられないように走って逃げる。
以前、作家の坂東真砂子が生まれた猫は海に捨てるとエッセイに書いて、批判を浴びた。
わたしは主体的に殺すことはできないが、見ぬふりをして逃げるのと、突き詰めた違いはわからない。

スタインベックの「二十日鼠と人間」の映画作品をも思い出す。
本人が意図しないままに殺人を犯した知恵おくれの大男を、他人に殺されるよりは自分の手でと相棒が自ら手を下す。
エデンの東」や「怒りの葡萄」にも増して、心に残った。