南木圭史著「ダイヤモンドダスト」

20年くらい前に芥川賞をとった作品だ。

数年前この人が原作の「阿弥陀堂だより」という映画をTVでみた。
そのとき香川京子が着ていた粗末な木綿の着物が息をのむ美しさだった。
着物ってなんて美しいんだろうと思った。

ネットで南木圭史について調べたら、ほとんど載ってなかった。
地味な人なんだろう。
年齢がわたしと近いので、作品を読んでみようと思い、図書館で借りた。
短編が4作品入っていた。
「冬への順応」「長い影」「ワカサギを釣る」「ダイヤモンドダスト」。1983~88にかけて雑誌に掲載された作品だ。

どの作品にも著者の死生観がうかがえる。
こんなくだりがある。
「人間てのはなあ、いつかは死ぬんだぞ。そのいつかってのはなあ、こんなふうに、風が吹くみたいに、ふいにやって来るもんなんだな。普通のことなんだぞ。珍しいことでも、怖いことでも、なんでもねえんだぞ。」
わかっている。わかっているんだけど、つい明日は必ずやってくると思ってしまう。
だからときどき、こういう言葉をかみしめて、今日をしっかり生きねばと思う。


明日は竜王へ登ろうと下調べをした。
かなり前、相栗峠から上ったことがある。
今回ははじめ琴南から上ってみようと思ったが、車の移動時間を入れると8時間を超えるので、奥の湯温泉から上ることにした。
このコースなら温泉に入っても3時までには帰宅できるだろう。