「霧の中の風景」「永遠と一日」テオ・アンゲロプロス監督

☆ 前者は幼い弟と少女が、ギリシャを出発しドイツに暮らすという父親に会いに行く旅。
無賃乗車した列車の検札を逃れるために、何度も途中下車して歩く。
ヒッチハイクで乗せてもらったトラック運転手に強姦されたり、親切な旅芸人の青年に恋心を抱いたりする。
国境警備に銃殺される危険も冒しながら、なんとかドイツに到着したかに見えるラストだが、その先父親に会える希望がなんとなく抱けない。
 
後者は死を間近にした詩人とアルバニアからの不法難民の少年との出会いと別れ。
 
どちらの作品もギリシャの現代史がしっかりと背景にあり、見る者にその歴史的考察をいざなう。
 
蛇足だが、後者で結婚式のシーンが出てくるが、花婿が両腕を大きく広げステップを踏むようすをみて、「その男ゾルバ」でギリシャ男を演じるアンソニー・クインがやはり同じ踊りを踊っていたことを思い出した。