『夜と霧』 フランクル著

★ 東北の被災者の間で多く読まれているということを知り、再読した。
 
イメージ 1 家にあるのは、霜山徳爾(1919~2009)訳1971年の第17刷のもの。
 
2002年に「世界がもし100人の村だったら」で有名な池田香代子(1948~)訳の新版が出ている。
こちらでも読んでみたい。
 
126ページの部分を引用したい。
 
―― 愛は、一人の人間の身体的存在とはどんなに関係薄く、愛する人間の精神的存在とどんなに深く関係しているかということである。愛する人間がまだ生きているかどうかということを私は知らなかったし、また知ることができなかった。(全収容所生活において、手紙を書くことも受け取ることもできなかった。そして事実妻はこの時にはすでに殺されていた。)しかしこの瞬間にはどうでもよいことであった。愛する人間が生きているかどうか――ということを私は今や全く知る必要がなかった。そのことは私の愛、私の愛の想い、精神的な像を愛しつつみつめることを一向に妨げなかった。もし私が当時、私の妻がすでに死んでいることを知っていたとしても、私はそれにかまわずに今と全く同様に、この愛する直視に心から身を捧げ得たであろう。
そしてこの精神的な対話は今と全く同じように力強く、かつ満足させるものであったであろう。――
 
精神科医フランクル(1905~1997)のこのようなことばが、愛する人を失った東北の被災者の心に届くであろうことが想像される。