「苦役列車」 西村賢太著 新潮文庫

★ 私小説作家西村賢太は1967年生まれ。 父親が性犯罪者となり、中学卒業から港湾人足仕事で生きてきた。
この境遇は小説家としてはこの上ない財産だ。
しかし、多くの人はひねくれいじけ、境遇を親や周りのせいにし、荒んだ生活を送る者が多い。
著者もそうだったが、一方で本を読む生活があった。
2010年「苦役列車」で芥川賞作家となる。 内容は中学を出てから文章で食べていけそうになる頃までの生活が描かれている。
 
私小説作家なら、私の好みとしては車谷長吉の方に惹かれる。
巻末の解説は大抵の場合著者が共感する人物に頼むと思われるが、この本の解説は石原慎太郎だ。 これも私の好みに合っていない。