「チャイルド44 森に消えた子どもたち」

★ 14日(月) タイトル名の映画を見に行った。 今回は高松で見られるので楽だった。

主人公は、1932~1933にかけてウクライナ人が多く住んでいた地域(穀倉地帯)で起きた人工的大飢饉(ホロドモール)の中、孤児として生き延びたレオという男。
長じて独ソ戦の戦勝旗を掲げた写真が新聞に掲載されたことで一躍有名になり、スターリン体制下でソ連国家保安省(MGB)捜査官のエリートとして働いており、一目惚れした小学校教員ライーサを妻に迎えた。

スパイの疑いがある人物を逮捕する日々の中、かつてのレオの親友である部下の息子が何者かに殺されるが、「ソビエト連邦には犯罪は存在しない」という建前を貫くため、事故死とされた。
次には妻のライーサにスパイの嫌疑がかかり、モスクワから遠く離れた村に左遷され、レオは民警として、ライーサは掃除婦の仕事しか与えられなかった。

この僻村でも子どもたちの惨殺事件が次々と起こる。
この話は1978~1990にロシア・ウクライナウズベクなどで、52人の女子供が殺された「アンドレイ・チカチーロ事件」が下敷きになっており、ロバート・カレン著「子どもたちは森に消えた」というノンフィクション(早川書房 1997.10出版)がある。
この本については、わたしのお気に入りのサイトhttp://tao.matrix.jp/kaze/ のNO.667~670に詳しい。

レオの正義感に火が点き、組織の意向ではなく本気で事件解決を目指し始まる。
捜査の過程で、ライーサに横恋慕していたレオの元部下ワシーリーにレオもライーサも命を狙われる。

命がけの捜査で突き止めた犯人はトラック工場に勤める元外科医で、幼いころはレオと同じホロドモールを生き抜いてきた男だった。 子供を殺める衝動をどうしても止めることができなかったとレオに告げる。
逮捕直前に犯人はワシーリーに射殺される。

最後はレオとライーサが、スパイをかくまっていたとしてワシーリーに射殺された農夫婦の子供を孤児院から引き取り養子に迎える。
MGBであるレオの求婚を断ることができず、愛情を持てないでいたライーサも共に苦難を乗り越える中で、夫婦のきずなを深めていく。

映画の原作はトム・ロブ・スミス(1979生まれ)著「チャイルド44」で、田口俊樹訳新潮文庫から出ている。

引きこまれて見ていたせいか、終わったときはぐったりと疲れていた。