「ノモンハン 1939」

★ 著者はステュアート・D・ゴールドマン、訳者は山岡由美。 出版はみすず書房で、「第二次世界大戦の知られざる始点」というサブタイトルがある。

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今年6月初め旧満州の旅から帰り、すぐにねっと古書店で購入したが、学術書なのでスラスラとは読めない。
地図で地名を確認したり、スマホで言葉を調べたりしながら少しずつ読み進めた。

1939年5月~9月満州とモンゴルの国境での戦いは、ソ連・モンゴル/日本・満州両軍合わせて10万人が動員され、4万人の死傷者を出したにもかかわらず伏せられ続けている。

その理由はこの戦いの責任者である瀬島龍三・辻正信・服部卓四郎の3名が戦争責任を問われるどころか、戦後も日本社会の指導的地位にあったことによる。
瀬島はファミマの親会社伊藤忠商事の会長として、辻は衆参の国会議員として、服部はGHQに勤務という具合に。
なぜ彼ら戦犯が戦後そういう道を歩んだかを調べることが、彼らの本質的な人間性に迫る作業だ。

裏表紙に書かれているようにこの本は---ノモンハン事件は歴史の傍流の一事件などではなく、ヒトラーポーランド侵攻、モスクワ攻防戦における赤軍の勝利、真珠湾攻撃など、その後の出来事の導火線になったことを説得的に示している。---

ノモンハンに対する好奇心を満たしてくれる一冊だった。


★ 今年のお盆に、初めて娘を連れて母の実家を訪れた。
私がいなくなった後、墓参りの場所を子どもたちが知らなくてはいけないので教えておきたかった。
そのとき仏間に戦死した伯父の写真だけがなく、そういえば写真に虫がついて外したと聞いたことがあった。

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家にあった一枚をそれ用に引き伸ばし、額に入れてもらった。
暮れの墓参の時持参するつもりだ。
左右の腕に章がついていて、次男が調べたところによると、右腕に付いているのが「二等機関兵」、左腕に付いているのが「普通科電機術章」であることがわかった。
わずか24年の生涯だった。