②「ザ・トゥルー・コスト」ドキュメンタリー

★ アンドリュー・モーガン監督2015年製作。

可能な限り多くの洋服を可能な限り早い周期で買ってもらうことを目指して作られる洋服をファストファッションという。
具体的にはユニクロ無印良品しまむらH&MZARA・GAP・GU・FOREVER21など、ファストファッションには20年の歴史がある。
毎年800億アイテムの衣類が世界で購入され、これは10年前の4倍以上の数だという。

2013年4月24日バングラデシュの首都ダッカ近郊にある8階建てビル、ラナ・プラザが倒壊し1100人以上が死亡し2500人以上が負傷した。
このビルには欧米アパレルブランドのマンゴ・ベネトン・プリマークなど5つの縫製工場が入っており、倒壊前日に建物の壁に亀裂が発見されていたにも関わらず、工場経営者が操業を強制的に継続させていたためだ。
先進国での低価格競争のしわ寄せが発展途上国の労働者の人権を脅かしている。
映画ではコットン栽培における農薬被害で若くして夫をがんで亡くした女性や、顔の皮膚の色素変化でまだらなシミができた女性も登場する。

組織の社会的責任に関する国際標準化規格(ISO26000)が2010年に制定されたが、製造した商品が消費者に届くまでの一連の工程(製品開発・原材料や部品の調達・製造・在庫管理・販売・配送)を意味するサプライチェーン全体に対して、企業の社会的責任(CSR)を確認しなくてはいけない。
日本では昨年11月に行動計画が発表されたばかりだ。
それぞれの企業のCSRへの取り組みを消費者が確認できなければ意味がない。

ファストファッションの対義語としてエシカル(ethical…倫理上の)ファッションという言葉がある。
モデルの鎌田安里紗(1992年生まれ 徳島出身 中学卒業で上京し、現在は慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程に在学)は、エシカルファッションフェアトレードに関する情報発信を積極的に行っている。
彼女は難しいことでなく、物を大切にして余計なゴミを増やさない/好きなものを大切に長く使う/自分が、好き!心地いい!と思う感覚を最優先に物を買えばいい/本当に私の着たい服って何だっけ?と考えることを忘れずにという。