高峰秀子の場合

⭐ 高峰秀子は2010年86歳で亡くなった。(1924~2010)
その6年後1歳若い夫の松山善三が91歳で逝った。(1925~2016)
二人の間に実子はなく、明美さんという養女を迎えている。

明美さんは二人の遺産を遺言通り小豆島町(出逢いの場)に寄贈した。
麻布の自宅の不動産を始め金額にすると相当な額になるだろう。
こういう処理をきちんとできる人として、二人は明美さんを選んだのだろうが、その目に狂いはなかった。

以前にもこのブログに書いたことがあるが、私が高峰の出演作品で最も気に入っているのは「カルメン故郷に帰る」だ。
狂気を演じられる女優は多いが、魯鈍を演じられる女優は滅多にいない。
彼女は美しい容姿に似合わない下品な声の持ち主(もちろん私の主観)で、この容姿と声のアンバランス(ミスマッチ)が役の幅を拡げていると思う。

三船敏郎版「無法松の一生」も忘れがたい。
この作品は後家の高峰ではなく、当然主役の三船にスポットが当たっている作品だが、金をどう生かすかということはどう生きるかということなのだと気づく。
そして無法松の不器用な献身に感動するのだ。