蓮池透著「拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷酷な面々」講談社 2015刊

拉致被害者寺越武志氏の母が、息子に会うために家族会を脱退した、と語るのを聞いた。

拉致被害者の内情を知りたくてこの本を読んでみた。
透氏は多くのこれまでの自分の過ちを認めて、正直に書いているように思えた。

まず「家族会」と「救う会」について。
前者は1997年3月に結成され、後者はその翌年佐藤勝巳氏を中心として組織された。
この佐藤氏は1929年生まれで元日本共産党員、1958年~1984在日朝鮮人の帰還運動に参加し、北朝鮮から2度勲章を受けている。その後北朝鮮の実態に失望し、反北朝鮮的立場に転向した。
このように、左右両極端にふれる人は多く、先日亡くなった西部邁氏もその1人だろう。

救う会のメンバーには政治活動を生業にしている人も多く、家族会は救う会の下部組織となり、運動方針はすべて救う会が策定している。救う会は運動慣れし、幹部は右翼的で、根底には拉致問題を利用し国民の反北朝鮮感情を煽り、ひいては北朝鮮の転覆・崩壊を目指す。
このように主従が逆転し、いつの間にか主が従に乗っ取られるというのも、運動としてはよくあることだが…。

安倍晋三ブルーリボンを付け、靖国参拝を繰り返し、韓国・朝鮮・中国とともに歩む姿勢を見せない限り、拉致問題の解決はない。
ブルーリボンは反北朝鮮のシンボルになってしまっている。
透氏が書いているように、安倍晋三拉致問題をテコにして総理大臣になった。
家族会のシンボル的存在の横田夫妻も自分たちが利用されているだけなのだと気づかない。
特に横田夫人は強硬派のようで、40年以上にわたる救出活動はその活動自体が生きがいになっている可能性が大きい。
以前、田原総一郎が何かの番組で、既に亡くなっているのに…と発言したら、有本夫妻だったかに訴えられ100万円の損害賠償を支払うということがあった。

しかしなんと酷いことだろう。
たとえどのような結果であれ、真実を知りそれを受け入れ、残りの人生を歩んで欲しい。
生還でないと受け入れることはできないという主張では、膠着するのも仕方なく、ましてやそれは安倍内閣の望むところだ。安倍内閣にとっては拉致問題は解決して欲しくないテーマだろうから。
この問題で、国内のナショナリズムを煽り、戦争できる国へと歩みを進めている。

巻末に、青木理氏との対談も掲載されている。


※ 草抜き作業を続けたせいか、歯茎が浮いてしまった。
今日は作業を休んだ。ヤワな体になったもんだ。


※ 新聞広告に
・夜中に何度も目が覚める…
・耳鳴りを改善…
・腸内細菌の不足に…
・尿漏れに…
などが氾濫している。
すべて私は当てはまるが、購読者は高齢者が多いのだから当然と言える。
しかし毎日のように掲載されていると、試してみようかしらと思う人も出てくるだろう。