映画「JOKER」
※ 二男がレンタルしていた「JOKER」を観た。
今 帚木蓬生の本をはじめ、精神に関する事柄に興味を抱いているので、この作品は強く惹かれた。
ピエロの仕事をしながら病気の母親と倹しく暮らす主人公アーサー。
彼は脳の障害から緊張すると笑ってしまう病気を持っている。
紆余曲折があり、以前母親ペニーが入院していた病院の記録を見たアーサーは驚くべき事実を知る。
母親から聞いていた話では、アーサーはペニーが家政婦として働いていた雇い主トーマス・ウェインが父親であるということ。
トーマスは市長候補であり、今も生活に困ったペニーが救いの手紙を送っていた。
ところが入院記録にはペニーがトーマスの子を孕ったというのは認知症による妄想で、アーサーはペニーの養子であり血縁関係はない。
アーサーの笑いの発作はペニーによる育児放棄や元交際相手による虐待が原因だった。
絶望したアーサーはペニーに枕を押し付け窒息死させる。
認知症による妄想、育児放棄や虐待、これは現代社会で同時進行しており、小説家や映画監督が描かずにはいられない事象だ。
しかし、是枝監督は「万引き家族」でひどい生育環境にあっても美しい心を失わずにいるじゅり(ゆり)を描いた。
永山則夫の裁判で採用されなかった石川義博氏の精神鑑定書だが、その仕事は徒労でなかったことを彼は理解した。