大江健三郎 沖縄戦裁判

★ 4/23付新聞に、4/21第三審判決上告棄却大江側勝訴の記事をみた。
 
提訴は2005.8.5で、大江が著した「沖縄ノート」(1970)において、座間味島での日本軍指揮官梅澤裕および渡嘉敷島での指揮官赤松嘉次が住民に自決を強いたと記述し、名誉を傷つけたとして、梅澤裕および赤松秀一(嘉次の弟)が、名誉毀損による損害賠償などを求めたもの。
経過は、2008.3.28 第一審判決 原告の請求棄却。→2008.10.31 第二審判決 提訴棄却。→2011.4.21 第三審判決 上告棄却 と、6年近くの歳月を要した裁判だった。
 
原告側・被告側の争点の一つに、曽野綾子の著書「ある神話の背景」をめぐるものがある。
 原告側主張・・・曽野綾子の著書により、赤松嘉次が命令を発してないことが明らかである。
に対し、
 被告側主張・・・曽野綾子は当時の兵事主任で赤松隊の命令を伝達した富山某に1969に取材し、「軍令」の証言を得ているにもかかわらず、「会ったことはない」と虚偽の証言をしている。
《 曽野綾子は家永教科書検定第三次訴訟第一審(1989.10.3判決)の証言で、「ある神話の背景」の執筆に当たっては、富山兵事主任に取材をしなかったと証言している。》     ウィキペディア「集団自決訴訟」参照
 
23付新聞には、一審判決は、
『集団自決が起きたすべての場所に日本軍が駐屯し、駐屯していなかった島(たとえば、渡嘉敷村の前島)では集団自決が起きなかったことなどから、集団自決に日本軍が深く関わったと判断。』 とある。
この間、文部科学省が2006年度の教科書検定で、自決命令の記述を削除させることが起きている。
 
大江は 『本土の日本人が沖縄の日本人に何をしたのか、記憶し直そうというのが私の仕事』 と語っている。