『身体を通して時代を読む』甲野善紀×内田樹 (文春文庫)

★ この本との出会いのきっかけは、テレビの『爆問学問』という番組で、あるとき甲野善紀という武術研究者が出演しており、太極拳に通じるところがあり興味を持った。
内田樹は今売れている人で、年齢も似通った二人がどんな対談をしているのかと読んでみた。
 
甲野氏の21歳の時の二つの疑問、
◎ 人間にとっての自然とは何か
◎ 人間の運命は果たして決まっているのか、決まっていないのか
彼の武術研究の出発点はここにある。
 
二人の対談は多岐にわたり、先日紹介した小学生の作文を教師が添削する場面も印象に残ったが、内田氏のこんな発言もある。
甲野氏の 「恋愛でも憧れているうちはいいけれども、その人の正体が見えると覚めてしまう・・・まあ、私の友人には長いこと仲良く夫婦をしている極めて例外的な人もいますから、・・・」 に対して、
内田氏は、「それはパートナーがどうしても触れることができない謎を蔵しているからじゃないでしょうか。恋愛の始まりの言葉は 『あなたのことがもっとよく知りたい』 であって、恋愛の最後の言葉は 『あなたって人がよくわかったわ』 ですから。」 と返す。
 
甲野氏の 「今後『人が人として生きる』という事が、より困難な時代となるだろう。」 という予感は私にもある。
学んで自分を進化させていく姿勢をわたしも持ちたい。
 
他に、若い数学者森田真生(まさお)氏の存在もこの本で知った。
刺激を与えられた一冊だった。
 
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