0さんの仕事ー瀬戸内海と原発(トリチウムと温排水の被害について)ー
※ 志度在住のOさんから表題のレジメをいただいた。
Oさんは四電の原発政策に対し毎週金曜日、長年抗議行動を続けておられる方だ。
レジメの最後に35冊の参考文献が紹介され、それらを読み解く力のない私にもエッセンスを示してくれている。
いくつか紹介したい。
原子炉では核燃料ウランが核分裂により3個の破片に割れる反応により、トリチウム(三重水素)が生成する。トリチウムはβ線という放射線を出すことでヘリウムに変わる。ヘリウムは不活性な元素で剥離剤の働きをする。
つまりトリチウムがヘリウムに置き換わると、組織を分断させ細胞死を招くことになる。
H25年版実用発電用原子炉施設(18箇所)の2003〜2012まで10年間のトリチウムの年度別放出量を見ると、2011年度の四電伊方発電所から53兆ベクレルのトリチウムが瀬戸内海に放出されている。
ベクレルとは放射性物質が1秒間に崩壊する原子の個数を表し、この数値が大きいほどそこからたくさんの放射線が出ていることを意味する。
2012年以降は規制当局の方針が変わり、国にトリチウムの放出に関する報告をしなくて良いようになったという。
電力会社のやりたい放題を援助するような原子力規制委員会の変化だ。
米国やEUには飲料水に関するトリチウム濃度の上限があるが、日本にはその規制値がなく、核施設からの排水規制値も1リットルあたり6万べクレル以下という極端に緩い規制値で、世界最高レベルと宣伝している規制基準の実態は原発最優先のものとなっている。それほど緩い規制でないと原発の運転ができないのだ。
瀬戸内海は水深が浅く、関門海峡、豊予海峡、紀伊水道の狭い3箇所の水路だけで外洋に繋がっており、海水の交換は緩慢で、90%の海水が入れ替わるのに1年半から2年もかかると言われている。
トリチウムと白血病との関連性も大分県姫島村、愛媛県伊方町、山口県柳井市、広島県大崎上島町、香川県直島町などを例に挙げ、白血病死数の高い数値を示している。
伊方原発からの膨大な排熱、温排水など、地球温暖化の元凶になっている指摘もあった。
トリチウムと温排水、どちらの観点も私にはなかったもので、新しい視点を得た。