映画「ヨコハマ・メリー」

中村高寛(タカユキ)(1975.2.25生まれ)監督の2006年公開の初監督作品を見た。
なぜ10年以上前の作品の再上映かというと、昨年同監督の2作目の作品「禅と骨」が公開され、高松でも来月上映予定となっているからのようだ。

「ヨコハマ・メリー」のテーマ曲は1968年の青江三奈のヒット曲「伊勢佐木町ブルース」。
メリー(1921~2005)は戦後50年間、横浜の街角に立ちつづけた老娼婦。
存在が注目され始めたのは1980年前後(老人になってから)で、90年代半ばには姿を消した。
中島らも著「白いメリーさん」(1994年講談社文庫)という短編作品もあるので、少なくとも横浜では有名人となっていたようだ。

本名は誰も知らない。
ネットで調べてみると、若い頃国鉄職員と結婚するが2年で離婚、関西で仲居として働いていた時米軍将校の愛人となり、彼に連れられ東京へ出るが、朝鮮戦争勃発後現地へ赴いた彼は、戦争終結アメリカへ帰り、日本へは戻らなかった、とある。
取り残された彼女は横須賀を経て横浜へ移動し、米兵相手の娼婦としての生活を始める。

映画は2006年公開されたが、メリーは2005年に亡くなっているので完成は観なかった。
この作品の半分ほどを、メリーを支えつづけた永登元二郎というシャンソン歌手が占めている。
この元次郎も2004年に没している。
映画の最後に岡山の施設で穏やかに過ごすメリーが映り、ホッとする。

監督の次作は、1918年アメリカ人の父と日本人の母との間に生まれたヘンリ・ミトワという禅僧が主人公の作品。
監督は中国北京で映画を学んでいる。