「ネガティブ・ケイパビリティ」帚木蓬生著(朝日選書)

※ 今年1月〜2月、毎日新聞に帚木蓬生氏の「ネガティブ・ケイパビリティ」という考えが紹介されていた。

それは拙速な理解でなく、謎を謎として興味を抱いたまま、宙ぶらりんのどうしようもない状態を耐え抜く力を意味しているという。著者は作家であるとともに精神科医でもあるので、この考え方を知ってから終末期や慢性病の患者、認知症の患者家族にとっても大切な考え方だと気づいた。

私も認知症を患った母が、「盗まれた、アンタが取った」と言うたびに母が嫌いになっていたが、宙ぶらりんの状態のままでも、理解できないことに共感することで、違った時間を共有できたのではと思う。

私も心塞ぐ日々だったが、母はもっと孤独だったのだろう。