伊集院光著「名著の話」KADOKAWA

※ 図書館に依頼して1ヶ月くらいで届いた。

NHK100分で名著で取り上げられた3冊の本が掲載されていた。

1.カフカ「変身」講師川島隆

2.柳田國男遠野物語」講師石井正己

3.神谷美恵子「生きがいについて」講師若松英輔

 

1と2については読んだことがない。

カフカについては2010年2月にプラハの彼の家を訪れたことがあるが、緑色の玄関ドア以外は何も覚えていない。当時の資料や写真も探すのが面倒だ。

3は比較的最近も目を通した。この本は1976年に第21刷が発行されているが、長く読み継がれている良書の一つだ。

その中にパール・バックの少女時代の夢は「自分の家が子どもたちでいっぱいになることだった」が、彼女が生んだ娘は決して成人しない重度の発達障害を伴っていたとある。

神谷は「人間の意識を作るものは苦悩である」というゲーテの言葉は正しい。苦しむことによって人は初めて人間らしくなるのであると述べている。彼女は1979年65歳で亡くなるが、美智子さんの相談相手であったことは皇室にとって救いだ。

平成天皇の一番上の姉成子さんは37歳の若さで亡くなるが、その学友は岩佐美代子(1926〜2020)さんで、この人も立派な国文学者だった。こういう人間的に素晴らしい人たちを皇室という特異な閉鎖社会に招き、接する機会を得たことは開かれた皇室に向けた大きな前進だっただろう。岩佐美代子さんの父方の曽祖父は渋沢栄一だが、父親・祖父共に宇和島出身の立派な法学者だ。

神谷美恵子と美智子さんの関係から話が逸れたが、伊集院光の楽しいテンポで一気に読ませる。