田月仙(チョン・ウォルソン)著「海峡のアリア」

この本は1957に東京に生まれた在日二世である声楽家のノンフィクションである。

音楽を通して、統一を願いながら在日として生きてきたこれまでの歩みが書かれている。

1994に著者は日韓友好記念親善大使として、生まれて初めて父母の故郷韓国を訪れる。
このとき選曲の中にあった「夜明けの歌」(1964に岸洋子が歌い、大ヒットした。)を歌うことを禁じられる。これは驚きだった。
1998の金大中就任まで、日本の歌は禁止されていたということだろう。

また「朝鮮籍」についても知らなかったことがあった。
韓国籍でない朝鮮籍北朝鮮籍ではないということ。
朝鮮籍朝鮮半島出身者を示すもので、北朝鮮国籍ではないということ。
しかし、現実に朝鮮籍のまま外国へ行くにはロシア・中国などの他は、かなり面倒なことがあるようだ。

1972の朝鮮大学生集団帰国にも触れられていて、金日成誕生60周年の「ナマの贈り物」として、約200名の学生が総連によって指名され、還暦祝賀代表団として北へ渡った、とある。