歩き旅その5 番外編

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青森駅から酒田駅まで、15日間で335kmを歩いた。1日平均22.3kmで今の私にはこれくらいのペースがちょうどいい。

5/28(木)
酒田駅で観光用自転車を借りて、見学した。
ちなみにここでは無料で借りられた。青森駅では300円、稚内駅では民間業者で700円だった。
まずは土門拳記念館へ。大きな公園の中の池のほとりに建っている。
香川の直島美術館もそうだが、周りの風景と一体となった記念館で美しい。
「古寺巡礼」の一部と「山王祭りと酒田の風物詩」・土門生誕100年企画で90歳近い写真家石元泰博のシカゴの風景(1940~1950年代)を撮った作品があった。
筑豊のこどもたち」が見られなかったのは残念。
つぎに、すぐ近くの酒田市美術館へ。
ここも少し小高い所にあり、鳥海山の眺めが素晴らしい。
展示内容は世界遺産が主だった。
三つ目は明治時代に建てられた米蔵山居倉庫へ。
黒い板壁と欅の大樹が美しい。
最後は本間美術館へ。
庄内の大地主だった本間家の所蔵品や別荘・庭園がある。
自転車の返却時刻が5時だったので、散策は以上でおわり。

5/29(金)
東京へ移動する。
庄内空港ANAのみが就航している。
雨で交通事故が多く、羽田から新宿までのバスが一時間半かかった。
京王八王子地下の市場で夕飯材料を買い、娘のアパートへ。
宿の食事で、刺身やテンプラばかり食べていたので、野菜が食べたい。

5/30(土)
損保美術館で岸田劉生展をみる。
以前NHK日曜美術館で麗子とリンゴの関係について語られていた。
これだけ麗子像を見続けると、麗子がリンゴに見えてくる。
ここはゴッホの「ひまわり」を常設している。
実物をみると、狂気を強く感じる。
つぎに徒歩で新国立劇場へ移動する。
並んでキャンセル待ちチケットを購入し、岡田利規「タトゥ」を観る。
救われない舞台だった。
ある映画を思い出した。
資産家の老女が階段から落ちて亡くなる。老女殺人容疑でメイドが起訴され、その弁護に都会に暮らすメイドの娘が当たることになる。
娘の父はドメスティックバイオレンスの加害者で、娘も幼いころから性的被害を受けていた。
母(資産家のメイド)は夫から暴力を受けたある日、追ってくる夫を深い落とし穴のある自宅近くの草地に誘導し、夫を殺したが、泥酔の末の事故死とされていた。
母は夫を殺すことで娘を守った。
しかし、それは母親しか知らない真実だった。
資産家老女の死の真実は、生きる気力を失った老女が、メイドに全財産を残す遺言を書いて自殺したのだった。
全貌が明らかになったあと、娘と母の和解が始まるというラスト。
内容はこうだが、題名も覚えていない。
この映画には救いがあるが、「タトゥ」にはなかった。
重い舞台を観たあとは、両国へ移動し「吉良邸跡」を見学。
ラストは徒歩で浅草神谷バーへ。
同席したご夫婦と楽しく会話しながら飲んで食べた。

5/31(日)
日比谷公園から歩いて千鳥ヶ淵墓苑・靖国神社へ。
靖国は広島の「過ちは二度と繰り返しませぬから」とは対極の思想にあることがよくわかった。
このあと徒歩で岩波ホールへ向かった。
雨脚が強くなり、カフェで休憩したが、同じ目的のような人たちが次々と入ってきた。
映画は若いイラン人女性監督がアフガニスタンの子供たちを描いた「子どもの情景」。
主役の女の子は演技しているとはとても思えない。
タリバンごっこをして遊んでいる男の子に、ここから出てはいけないと丸い円を白い砂で描かれる。でもいうことを聞かずにそこから出る。男の子はまた新たな円を描く。円が3つになったところで、女の子はけんけんをして遊び始める。
アメリカの象徴のようなカイト・ノートを破いて作った小舟など、小道具がそれぞれメタファーになりうまく作用している。
新宿で娘と別れ、帰路に就く。