「ヒットラーのカナリヤ」 サンディー・トクスヴィク作 小峰書店

★ デンマークレジスタンスがさほど激しくなかった国として、「ヒットラーのカナリヤ」と揶揄されることがあるそうだ。
この本を読めばそれが事実でなかったことがわかる。
 
 
 
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主人公は1940年当時10歳だったデンマーク人の少年。
これは作者サンディのお父さんがモデルになっている。
デンマークに暮らすデンマークユダヤ人を、中立国スウェーデンに逃がすレジスタンス運動が描かれている。
デンマークユダヤ人で亡くなったのは全体の2%以下で、ほとんどの人たちは残して行ったままの自宅に戻ることができた、と巻末解説にある。
 
興味深いのは、デンマークに駐留していたドイツ軍の多くはユダヤ人に関する命令に従っておらず、悲しいことに、最も反ユダヤ人運動に熱心だったのは、占領軍に対して手を貸す立場にあった、デンマークナチスだった、との説明だ。
さまざまなケースがあり、一概に先入観で見てはいけないことがわかる。