『ノモンハンの夏』 半藤一利著

★ 図書館への返却日が迫っており、大阪への行き帰りの車中で読み終えた。
 
イメージ 1 『昭和史1926~1945』に続いて、半藤一利の2冊目だが、先の本では、なぜ司馬遼太郎ノモンハンを書く事ができなかったの訳がわかった。
それは後日、参謀瀬島龍三と親友同士のように接する司馬を取材を受けた須見連隊長は許すことができなかったからだ。
司馬は須見連隊長に三行半を渡され、取材内容の公表を禁じられたのだった。
それは司馬の身から出た錆びで、須見連隊長の想いを理解できていなかったということだろう。
 
この本は、元陸軍大佐辻正信に対する半藤一利のこれを世に知らしめないではいられないという堅い決意がある。
半藤は辻を「絶対悪」と言いきる。
 
損耗(戦死傷病)率が書かれている。
ノモンハン・・・76%
遼陽会戦・・・17%
奉天会戦・・・28%
ガダルカナル会戦・・・34%
 
ノモンハンがいかに凄惨であったかがこの数字からも読み取れる。
 
また、モンゴルの数々の「痛み」、例えばスターリンによって処刑された多くのモンゴル指導者など、清の支配下から後のモンゴル史にも興味がわいた。