上野千鶴子著「おひとりさまの最期」

上野千鶴子は1948年生まれ、夫と同年で今年70歳を迎える。

この本は2015年秋に第1刷がでているので、2年半前の研究成果をまとめたものだが、「在宅ひとり死」研究レポートと書いてあるように、1人で自宅で死ねるか?というテーマを扱っている。
結論から言って、訪問看護ステーション、訪問診療の医師、訪問介護事業所が全てそろっていれば可能だと、上野は言い切る。

早速私の住む場所で調べてみたら、徒歩圏内ではないが比較的近い場所に2ヶ所あった。
彼女は、何かの時に真っ先に電話をかけるのは訪問看護ステーションだと言い、訪問看護師が必要に応じて主治医に連絡してくれ、その後ケアマネージャーに連絡し、119番にかけるのは最後だという。
はじめに119番を利用すると、その後自分の希望するケアは受けられなくなる。

2014年の統計だが、2人以上の世帯のうち世帯主が60歳以上の高齢無職世帯の平均貯蓄額は2372万円、夫が雇用者だった標準世帯の年金額の平均は21万8千円、夫を見送った後のおひとりさま主婦は夫の遺族年金と貯蓄の取り崩しで、なんとかしのげるのでは?
もし不足しそうなら自宅を担保にして資金にするリバースモーゲージと言う手もある。

高齢者福祉は、歴史的にみてどの社会でも、現役世代が高齢者にかかる負担を軽減したいと言う動機から発達してきたといわれる。
年金制度があるからこそ、医療保険介護保険も成り立っているわけだから、若者に迷惑をかけずこの世とさよならしたいものだ。