中村高寛監督「禅と骨」2016年 127分 於ソレイユ2

※ 1975年生まれの中村監督の作品には哀しさと戦争が漂っている。

前回のヨコハマメリーには、米軍将校の愛人となるも朝鮮戦争で捨てられ、それでもなお50年間娼婦として生きた女性が主人公。

今回の禅と骨は京都で禅僧として生きた日系アメリカ人ヘンリー・ミトワが主人公。
戦争はどこにも描かれていないが、太平洋戦争中は日系人強制収用所で過ごした。
ドイツ系アメリカ人の父と日本人の母との間に、1918年横浜で生まれ、1940年渡米し、アメリカで日本人サチコと結婚し長男・長女・次女と3人の子をもうける。
ヘンリーの帰国を待ちわびていた母は、1955年76歳で亡くなる。
ヘンリーは1961年単身帰国。
1965年アメリカの家族を日本に呼ぶ。ヘンリー不在中はサチコがピアノで生活を支えた。
2012年死去。(享年93)
中村監督は臨終から通夜・葬儀・骨拾い・納骨と全てこの作品におさめている。

ヘンリーの会話で印象に残っているのは、水上勉(1919~2004)と親しかったのだが、水上が病床にあったとき、握手ができない水上のペニスを握りしめ、コイツで苦労するんだよ!と言い放ったと豪快に笑った。
もう一箇所、死期が近づいていた頃見舞いにきた次女が帰ろうとするが、その手をなかなか離そうとしないシーン。

ヘンリーは晩年、菊池寛著「赤い靴履いてた女の子」を原作とする映画を作ろうとしていた。
それはヘンリーの死後「ヘンリーの赤い靴」として公開された。

ちっとも悟りきれていない禅僧、1918~2012を日本~アメリカ~日本で、心に正直に生きた。
開戦時にアメリカにいたことは、前線にいかずに済んだという意味では幸運だった。



※ 先日自治会の高齢者の割合が知りたくて、支所に問い合わせてみた。
そのようなデータはすぐにあると思ったが、4時間後くらいに回答があったのには驚いた。
私の住む自治会の住民総数は129人で、その内65歳以上の高齢者は60人ということだった。
高齢者の割合は46.5%ということだ。
しかし何と言っても小学生が1人というので、この割合はここ数年で急カーブを描いて上昇することになる。