赤坂真理著「箱の中の天皇」

※ 本書には「箱の中の天皇」と「大津波のあと」の2編が収められているが、前者について書きたい。

小説だから色々なモチーフが出てくるが、2ヶ所を紹介することで著者の意図を想像したい。

① 「…傀儡国家を持つというのが、超大国の夢だ。植民地と非難されることも一切なく、独立運動を起こされることもなく、言うなりになる国家。幾度首相が代わろうと、我らの人形で」
 「でも天皇がいる」
 「だから利用した。天皇こそが、人形だよ。あんなに使い勝手のいい人形はない。だってもとから人形だから」
 「でも国民は、黙っていないのではないかしら?」
 「国民だって、天皇を利用してきた。日本の歴史はある意味、天皇の利用の歴史だ。天皇の利用の仕方を、ひとえに洗練させてきたのが日本史だ。わたしは、君たちの歴史に学んだだけだ。…」

② 1985年5月8日、第二次大戦がヨーロッパで終結してから四十年の節目に、ドイツのヴァイツゼッカー大統領が連邦議会で次のような演説をした。
ーー5月8日は心に刻むための日である。ある出来事が自らの内面の一部となるように。そして、あの戦争で傷ついた人たちのことを細かに挙げ、彼らの痛み苦しみ、そして悲しみを、心に刻んで忘れないようにしようと言いました。戦争で傷ついた人とは、ホロコーストの犠牲者や、戦闘で死亡または負傷した人たちばかりではありません。他国の民族、殺されたジプシーたち、同性愛者たち、レジスタンスたち、精神障害者たち、空襲におびえた人たち、故郷を追われた人たち、暴行・掠奪された人たち、強制労働につかされた人たち、不正と拷問、飢えと貧困に耐えた人たち、迷いつつも信じ、そのために働いたものが無価値と知った人たち、そういう数かぎりない身体と心の傷。暗い日々にあって、人間性の光が消えないよう守りつづけた女たち。戦争で他者を助けるために生涯独身で孤独だった女たち……そういう、すべての嘆きと悲しみを、忘れないようにしようーー
こういう節目と言葉がもし日本にもあったら、どれほどの心が救われたかしれません。


※ 指の腫れ

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今左手薬指が腫れて痛い。たったこれだけのことだが、タオルが絞れないし、フライパンも持てず、キーボードもこの指では打てない。
少し前には右手人差し指が同じ状況になった。
原因不明だが、血の巡りが悪くなっていることはわかる。当初甲の薬指付け根辺りに内出血のような変色もあり、少し熱を持っている。


※ 週末次男が帰省することになった。
休日出勤の代休消化のためだという。

娘は昨夏全く畑違いの職種に転職したが、縁がなかったようで今月退職する。
また職探しだが、独り身なので気楽な面もあり、なんとかするだろう。