「出稼ぎ」について

福建を調べていて、以前世界遺産に登録された福建土楼群がTV放映されていたことを思い出した。
場所は広東省に近い山間部だったと記憶する。

ある土楼に暮らす一家に、何年振りかで稲刈りを手伝いに出稼ぎに行っていた息子が帰ってくる。
その息子の出稼ぎ先がヨルダンだった。

大韓航空機爆破事件の乗客は中東へ出稼ぎに行っていた韓国人だった。

イエメンからサウジアラビアへ出稼ぎに行く父親、またイランやトルコの映画作品などでも出稼ぎのようすが出てくるのを目にする。

日本で出稼ぎといえば、高度成長期の建設業・自動車生産などの短期労働・作物収穫期の季節労働・一昔前のニシン漁などがあったが、外国へのそれはあまり聞かない。
坂東真砂子の小説で、マレーシアへ置き薬市場を開拓しに行く薬売りの話を読んだことがあるが、これは史実かどうか知らない。
性産業(産業というのかどうか?)も考えられるが、日本で外国への出稼ぎといえば、怪しげなブローカーなどのイメージがくっつく。

もちろん自国で食べていけないから外国へ出稼ぎにゆくわけだが、自国以外の国を体験することは、それが豊かな国であれ、貧しい国であれ、自分の国について考えざるを得ない。

自分の国について考えるチャンスがきわめて少ない点において、日本は北朝鮮と似ている。