『サルガッソーの広い海』

 
イメージ 1 ★ 8月に見た映画『ジェイン・エア』で、幽閉されているロチェスター卿の妻が西インド諸島出身のクレオール(植民地で生まれたヨーロッパ人)であり、この本は自らもクレオールであるジーン・リースが、『ジェイン・エア』が出版されてから約120年後に完成させた作品だ。
 
これを読むと、ロチェスターについての見方が変化してくる。
 
最新版の映画『ジェイン・エア』は香川で公開がなく、岡山まで出かけた。 それはジェイン役の女優が魅力的で、おそらくジェインはこのような人ではなかったかと思えてきたからだ。
 
ジェインが魅力的なのはだれしも感じるところだが、ジェインはロチェスターのどこに惹かれたのだろう。
この本を読むと、改めてその疑問がわく。
 
 
 
 
 
ジェイン・エア』の著者シャーロット・ブロンテが生きたのは1816~55で、作品は1847に出た。
一方、『サルガッソーの広い海』の著者ジーン・リースが生きたのは1890~1979で、作品が出たのは1966。
 
ジーン・リースが何歳のときにジェイン・エアを読んだのかは興味があるが、ジェインの立場からでなく幽閉された妻の側からジェイン・エアを捉え直してみたい欲求に駆られたのは理解できる。
 
タイトルの「サルガッソーの海」とは北大西洋の真中の無風地帯にあり、海藻がたくさん繁茂している海域で、かつては船の難所であった。 それゆえこのタイトルは植民地と本国の間に立ちはだかる障壁を意味する。