『眉屋私記』上野英信著
★ 読み終わるのにほぼひと月かかった。
著者の経歴を知り、上野英信という人に興味を持ち始めた。
これまで『地の底の笑い話』『追われゆく坑夫たち』と読み継ぎ、これは3冊目だが、すんなりとは読めなかった。
沖縄の地名と沖縄言葉、漢字・カタカナ表記の文章になると、ぐっとペースが落ちた。
「眉屋」とは沖縄・名護湾北岸に1840年ごろ起こったある家庭の屋号だ。
その家庭の夫婦から4代目にあたる山入端萬栄(やまのはまんえい 1888~1959没)の記録が、この本の中心になっている。
そこで炭鉱移民と出会い、眉屋を知り、萬栄の7歳下の妹ツルを知り、この本の誕生となった。
1924年から3年間のキューバへの移民は全国378人を数え、内沖縄からは125人で33%を占めている。
『眉屋私記』は続編に興味が向くが、上野に代わる著者が出てくれないものか。