「紙の動物園」

★ タイトルの著者はケン・リュウ(1976生まれ)、中国系アメリカ人。
ファンタジー小説だが、作品の中では1957年生まれの母は18歳でアメリカ人の父と結婚。
母は文革のなか、10歳で父母が亡くなり孤児となり、香港を経てアメリカ人の夫に買われていく。
アメリカでの生活の中でも、中華料理を作り中国語を話す母は息子が長じるにつれ疎まれていく。
母は息子が幼いころ、包装紙で様々な動物を作り、息子にとってもそれらは宝物だった。
そんな母が40歳にもならない年齢で癌で逝く。
母が亡くなり2年後、息子は母の人生について記した手紙を読む。
この手紙が圧巻。

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紙の動物が動くというファンタジーに触発されて、1969年の松谷みよ子著「ふたりのイーダ」を思い出した。これが出版されたときはとても話題になり、映画化もされた。
こちらも図書館で借りて再読。改めていい作品だと思った。

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原爆を扱った児童文学はこの作品と「はだしのゲン」が双璧かもしれない。


★ しばらく辺見庸のブログを覗いてなかったら再開されており、絶版になっていた堀田善衛著「時間」が岩波現代文庫から復刊されたとあった。
南京虐殺をとりあげた本だ。読まねばと思う。


★ 「家栽の人」原作者、毛利甚八食道がんのため大分県の自宅で死去57歳と、2日前の新聞にあった。この人の作品をもっと読みたかった。