アンドロイド演劇「さようなら」 平田オリザ作・演出


★ 作品について予備知識を持たず、昨日坂出市民ホールに向かった。
死にゆく女性と同年代のアンドロイドの女性が、静かに対話する哀しさの漂う舞台だった。

気になり帰宅後ネットで調べてみると、2010年あいちトリエンナーレが初演だそうで、これを見た深田晃司監督が映画化を希望したという。
その理由は、演劇における「死のにおい」に惹きつけられたからとのこと。

映像作品は2015年に完成している。
こちらは主人公の女性が日本に住む難民(ロシア人)で、原発事故後政府は国土を捨てて日本人を海外に移住させる政策を推進している。
避難優先順位下位の難民は取り残され、アンドロイドに見守られながら死を迎える。
アンドロイドがアンドロイドの役を与えられ、人間の役者と共演する。

舞台では、死が近い女性にアンドロイドが谷川俊太郎・アルチュールランボオ・カールブッセ・若山牧水などの詩の朗読を聞かせる。
アンドロイドは、子どものときから重い病気を抱える女性の心を安らげるために、父親が買い与えたものだということが会話からわかる。
女性の看取りを終えたアンドロイドは、つぎに原発事故で人間ができない作業を担わされる。

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平田オリザは「僕までが近代演劇で、僕からが現代演劇なんです」と言い、「近代」と「現代」の違いは伝えたいことがあるかないかで、現代芸術は基本的に伝えたいテーマがあるわけでないと述べる。
テーマはないが、世界観はある。
「私には世界がこう見えていますよ」ということを提示するのがコンテンポラリーアートだと!


上記サイトを参照した。
機会があれば映像作品も見たい。