「おらおらでひとりいぐも」若竹千佐子著

※ この本を読もうと思ったのはこの作品がドイツの文学賞「リベラトゥール賞」を受けたことによる。

この賞はドイツで出版されたアジア、アフリカ、ラテンアメリカ、アラブ世界の女性作家による作品を対象としたもので、1987年に創設された。

ドイツ語版翻訳者ユルゲン・シュタルフは著者と同い年で、東北弁の翻訳に悩み、ドイツ東部の方言を取り入れたという。

内容は夫に先立たれた74歳の女性の内面が東北弁で綴られている。方言を翻訳に活かすのがどれほど難しいかは想像できる。

石牟礼道子の作品の海外での評価が日本ほどに認められていないと感じるのも、熊本弁の翻訳が難しい故かと思ったりする。

 

74歳の主人公がーーおらはこれからの人だ、まだ戦える!!ーーという決意がドイツでも受け入れられたのだろう。

 

一方、映画「plan75」も思い起こさせた。

75歳以上が自らの生死を選択できる制度【プラン75】が近未来の日本で運用されている。

78歳の主人公もそれに加入するのだが、最後は決別し生き抜こうと決意する。

 

柳美里の「バークレー日本賞」にも言及したい。

これは生涯を通じて、日本文化の理解促進に貢献した個人に贈られる賞で、米国のカリフォルニア大学バークリー校日本文化センターが主催し、数年に一度受賞者が発表される。

彼女の「JR上野駅公園口」については以前書いたので、リンクを載せておく。

2020年の全米図書賞翻訳部門を受賞した。

sanamori.hatenablog.com