#読書

「草原と革命」 田中克彦著 恒文社

★ ケマル・アタテュルクが黒海沿岸で独立運動に立ち上がった頃、モンゴルでも革命が起こっていた。 モンゴルは、1921年に200年にわたる清からの独立を果たしたものの、1930年代のスターリン時代に、すぐれた多くの革命家たちの命が奪われた。 1…

『ルポ 拉致と人々』 青木理 岩波書店

★ 大阪で見た映画『死刑弁護人』の際のトークショーで、青木理というジャーナリストを知った。 「救う会」、 「家族会」、2007年の朝鮮総連本部ビルをめぐる緒方重威逮捕などに興味を持つ人には面白い本だ。 著者は元共同通信記者で、現在はフリージャー…

『ノモンハンの夏』 半藤一利著

★ 図書館への返却日が迫っており、大阪への行き帰りの車中で読み終えた。 『昭和史1926~1945』に続いて、半藤一利の2冊目だが、先の本では、なぜ司馬遼太郎がノモンハンを書く事ができなかったの訳がわかった。 それは後日、参謀瀬島龍三と親友同…

『昭和史 1926~1945』 半藤一利著

★ 読了するのに10日以上かかってしまった。 満洲獲得に狙いを定めてからポツダム宣言受諾までの昭和前史を講義した通史だ。 特に、ミッドウェイの戦い以後の多くの戦死者が、何のために死ななければならなかったのかを改めて想い、その無念さを生かすには…

『黄沙の楽土』-石原莞爾と日本人が見た夢- 佐高信著

★ 次男が持ち帰っていたコミック『虹色のトロツキー』全8巻を読んで、石原莞爾について書かれたこの本に興味が湧いた。 石原莞爾(1889~1949)は関東軍軍人。満洲事変の実行者であり、満洲国国立大学『建国大学』を構想した人物だ。 建国大学では日…

『A3』 森達也著 集英社インターナショナル

★ 500ページを超える大作だった。 『A』 『A2』 が映像作品を伴うのに対し、『A3』は書籍だけだ。 理由は内容を見ればわかる。 読後感はとても重いが、ドキュメンタリーだけあって、高村薫の『太陽を曳く馬』を読んだ後よりも、くっきりとしたものがある…

『A』 森達也著 角川文庫

★ 何年も気になりながら、なかなか読めない本がある。 これもその一つだった。 映像作品は1997年、書籍は2000年に刊行されている。 地下鉄サリン事件が起きた1995年3月20日から半年経った9月、著者が当時のオウム真理教広報担当荒木浩に取材…

「わたしたちが孤児だったころ」 カズオ・イシグロ著 入江真佐子訳

★ 分子生物学者福岡伸一とカズオ・イシグロの対談に興味をもち、読んでみたくなった。 話題作は 「わたしを離さないで」 だが、1930年代の上海が舞台のこの作品をまず読んだ。 前半はわたしにとって退屈だったが、後半は活字から目が離せないほどで、十…

「原子炉時限爆弾」 広瀬隆著 ダイヤモンド社

★ 1987公開 アニメ映画「風が吹くとき」が思い出されて仕方ない。 政府が言う放射能から身を守る方法を忠実に実行しながら、汚染で亡くなっていく善良な老夫婦。 著者は次のように書いている。 戦後50年間日本での地震は休眠期にあったが、1995の…

「一枝の桜」フセワロード・オフチンニコフ著

★ 300ページ足らずの文庫本なのに、2週間で読めていなくて延長願いし、3週間借りていた。 心がざわついていると、本も読めない。 著者は1926生まれで、’62~’68プラウダの東京特派員として日本各地を回った人。 ゆえに’60年代の日本観察が描…

Ladybug

★ 昼ご飯の準備をしようと畑にワケギとマンバを取りに行ったら、数匹のテントウ虫がいた。 とても久しぶりに見たように感じた。 てんとう虫をみると反射的に思い浮かぶのが、手塚の「火の鳥-鳳凰編-」。 我王は他人にそそのかされて、妻のハヤメを殺害する…

「闇の世界金融の超不都合な真実」 菊川征司著 徳間書店

★ 正月に子供たちが帰ってきたおり、この本が炬燵の上にあった。 3人のうちの誰かが買ったものだろう。 2か月余ず~っとそのまま置かれていたが、図書館に依頼してある次の本が届くまでにと思い、手に取った。 読み始めるとおもしろいし、腑に落ちる部分も…

「発明マニア」 米原万里著 毎日新聞社

★ 2週間程前、志度図書館へ地図のコピーに行った折、久しぶりに訪れたので、上記の本を借りてきた。 500ページもある分厚いもので、サンデー毎日2003.11.16.号から2006.5.21.号に連載されたもの全てがまとめられている。 彼女は2…